2020/05/18
何とかなるさが身上の私ではあるが、前回の件に関し、不安を抱えていなかったと言えば嘘になる。
何しろ6点だ。泥酔したまま試験を受けたとか、誤って1本しかない鉛筆を食べてしまったとか、余程の事情がない限りなかなかお目にかかれぬ、できることなら墓場まで持って行きたいテストの結果を、まるで白い鳩を大空へと放つかのように、万人の目に触れる場で書き綴ってしまったのである。
10点満点の6点ではないかといったご意見も頂戴したが、それならば「6点でした…」と尻すぼみにならず、むしろ堂々としているだろう。「6点でした!!」ぐらいの勢いがあるはずで、例の女子が受けた試験はまず間違いなく100点満点。にもかかわらず6点だったと、またも不用意に6点を連呼しているが、とにもかくにも前回のピロートークで蒼天の拳ならまだしも、6点の件を書いてしまい、乙女心に傷を付けちゃいないかとちょっとした不安を抱えていただけに、更新から2日後、女子から届いたメールを開く時には柄にもなく緊張した。
「寒くなりましたね〜。魚拓さんの懐はどうですか? 私は寒いです(笑)。魚拓さんは数字に強そうですね!!」
傷付くどころか至って普通。これがメールではなく手紙なら、キティちゃんのシールで封をしているんじゃないかといったホンワカしたテンションに、ホッと胸を撫で下ろすと同時に、とある疑問が湧き上がる。
ピロートーク専用のアドレスに届いたということは、前回のアレに目を通しているはずである。にもかかわらず、6点の件には一切触れず、懐の寒さを報告してくるとはもしかして、自分がネタにされたことに気付いていないのか。
いや、気付いていながらも、私に気を遣わせまいと、あえてそのことに触れていない可能性もある。脈略がないようにも見える「魚拓さんは数字に強そう」の一文の前には、本来なら「私は6点だったけど」と入るのではないか。彼女の溢れんばかりの優しさが、「えっ!?」と聞き返したくなる文面にしているのではないか。
果たして、答えはどちらなのだろう。彼女はすっとぼけているのか、それとも秋の日差しのような優しさを持っているのか…。どちらにしても悪い男からの誘いを断れるのか心配で心配でストロークが定まらず、パチンコの北斗で10万負けました。
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