2020/03/16
私が足繁く通う近所の「ダメな店」は、設定状況がてんでダメな、もし居酒屋で隣り合わせたら「お前はホント、ダメだよな」と軽口を叩けるダメな店であるが、時折のぞくその店は、軽口どころか深い溜め息をつく他はない、本当にダメな店なのである。
呼び出しランプを押してもしばらく音沙汰はなく、ようやくやってきたと思ったら、パチンコ玉が溢れそうな状況でも箱を渡すより先に呼び出しランプを消しやがるし、ホッパーからかき出したコインを悪びれる様子もなくサンドに戻しやがるし、玉やコインを運ぶ途中でポロポロとこぼすのみならず拾おうともしない。こちらは家族が聞いたら呆れるほどのお金を使っているんだから気ぐらい遣え…。シャベルで掘った深い穴に、そう大声で叫んだのは1度や2度ではない。
日曜の朝、いつもジャストか微妙に遅れるこの私が待ち合わせの20分も前に着いてしまい、向こう2年は味わえないであろう人を待つ時間というものをじっくり噛みしめようと、近くのファストフード店に入り紙のようなホットコーヒーをすすっていたら、小学生らしき少年2人がやってきた。
「無理無理、今時あんなのヤバいって」
「だよなぁ。オレも短パンはヤバいと思う。あっ、やっぱポテトうめーっ」
その場にはいない少年の、短パンがイケてないといった内容の会話が明るい調子で繰り返されていたわけだが、その日、私がはいていたのは短パンだった。短パンを散々こき下ろす目の前で、コーヒーをすすっているのが短パンのおっさんだったことに気付いてしまったのか、しばらくの沈黙の後、後ろで小さい声がした。
「でも、まあ、大人になったらアリだとは思うけど…ね」
マックのポテトに感動するような年齢の子でさえ、これだけ気を遣えるのである。本当にダメなスロ屋にいる店員も、もう少しどうにかならんものかと思うと同時に、先入観や固定観念のないまっさらな感性に照らし合わせると、今もはいている短パンはもしかしてヤバいのかと、やや不安にもなる私なのであった。
ピロートークが掲載されている「未練打ち1」のご購入はコチラ!!↓↓↓
"ガイドワークスオンラインショップ"