2020/03/02
今朝も携帯の留守電にメッセージが残されていた。「おはよう。シゲ子だけど、電話ください」。
これで3日目だ。3日続けてほぼ同じ時刻にシゲ子から電話の催促があったことになるが、どうやら彼女は徐々に苛立ってきているようだ。
おとといは「おはよー」と、「よ」に伸びがあった。ダルビッシュのストレートに勝るとも劣らぬ伸びがあったのに、昨日は普通に「おはよう」。伸びはすっかり影を潜め、今日の「おはよう」には1日目のそれからは考えられぬ、ズッシリとした重みがあった。
目覚めた直後は誰もが気怠い。だからこそ朝の挨拶は、はきはき明るく元気よくすべきだし、当然相手にもそうして欲しいのに、このまま放っておけば、明日はさらに重く冷たい、鉛のような「おはよう」を聞くことになるのは火を見るより明らかだ。
そろそろどうにかせねばならない。どうにかせねばならぬが、私はこのシゲ子と名乗る女性を知らないのである。05から始まる固定電話だから、静岡、岐阜、愛知辺りにお住まいの、70歳ぐらいのシゲ子…。やはりそんな婆さんとキスはしていないし、電話番号を教えた憶えもない。
間違い電話であることに、彼女が気付くまでそっとしておいた方がいいのだろうか。それとも、まるで想い続けたあの人を口説くかのように、「シゲ子さん、私は木村です。アナタが半分キレながら電話をかけている相手は、パーマでお茶目な東京の木村ですよ」と優しく教えてあげるべきなのだろうか…。
今、神様がひとつだけ願いを叶えてくれるなら、毎朝の電話に迷惑していることをシゲ子に伝えてもらうのも悪くないが、やはり先週からの負け分を返してくれるよう頼むと思う。お願いです、返してください。
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