三十男のピロートーク

パチスロ必勝ガイドのブログ「スロガイフラグ」で2005年から連載された木村魚拓のコラム。(当時)三十男がつぶやくピロートークには、甘さの中に苦味を隠した大人の男の在り様が綴られているが、ベッドで語り合うものとはまるで違う。

※毎週月曜アップ予定!!

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その1

2020/02/10

 

 いつだったかコンビニで786円分の買い物をした。今あるだけでも邪魔なのに、これ以上、小銭が増えるのは勘弁と、ありとあらゆる硬貨をふんだんに織り交ぜカウンターに836円置いたところ、それまで無機質にレジをこなしていたおっさんの表情が一変。「あぁぁぁぁチクショー、面倒くせーなー!!」。これ見よがしに髪をかきむしっていた。


 あの一件以来、他人を怒らせぬよう注意深く生きてきたはずだった。かきむしることはあっても、二度とかきむしらせることのないよう、用心に用心を重ねてきたはずなのに、一昨日、またもやらかしてしまった。ラビット何ちゃらとかいう、イケてないハンドルネームの方が髪をガリガリとかきむしる音が、まるでネット回線を通じこちらまで聞こえてくるようだった。


 自宅で人を待つ間、半端に暇を持て余していた私はネットゲームの大富豪(トランプ)に興じていた。ネットで大富豪は初めての体験。言わばネット大富豪ヴァージンである。見様見まねでカードを切ったり、パスをしたり、革命を起こしたりと、何度かプレイする内にルールそのものは理解できたが、どうにも理解できないのが1プレイごとの挨拶。ゲーム開始時の「よろ(よろしく)」は分かる。終了時の「おつ(おつかれ)」も分かるが、ゲームの最中、暫定の大富豪となったプレイヤーに「おめ(おめでとう)」と入力する意味が分からない。こちとら命懸けで戦っているのだ。最終結果が出た後ならまだしも、戦いの最中に、リードしている相手に向かって「おめ」などと声を掛ける心の余裕はないわけで、「おめ」と言われた時だけ仕方なく「あり(ありがとう)」と返していたところ、何度目かの「あり」の直後にラビット何ちゃらが凄い剣幕で入力してきた。「どうして『あり』は言えるのに『おめ』は言えねーんだよ!!」。表情は見えないが、文体から察するに入力時のラビット何ちゃらは鬼も後ずさりするほどの剣幕だったはずだ。


 嗚呼、あれだけ気を付けていたっていうのに…。「あうぅぅぅぅ、だって、でも、すいません」を略し、ひとまず「あう」と入力してその場は収めたが、どうやら今の私はまだネットで大富豪をプレイできるほどの器ではないようで。2千年ほど修業を積んだ後、箱詰めにして店先で売るほど暇があった上、何かの間違いで気が向いてしまったらまた出直してくるかもしれないので、まあその時はよろ。

 

 

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