スロ研サテライト室

主にパチスロ実戦術で活動する、検証系ライターのミナトが綴るパチスロブログ。新台情報、検証実戦、得するネタをお届けするぞ!!

【有利区間】が無くなるとどうなるのか? 本気出して考えてみよう

2025/02/24

記事カテゴリ:ライターコラム

まいど、ミナトでございます

 

最近、SNS界隈にて「有利区間をなくす」論争が繰り広げられているのはご存知でしょうか? とある人物の投稿から始まり、現在様々な意見が飛び交っています。

 

そこで今回はこの有利区間論争をテーマにお話しを進めていこうと思います。

 

掘り下げるとかなり堅苦しくて難しい話になりますので、ポイントを絞ってできる限り簡単に解説していきます。ではいってみましょう!!

 

※今回のコラムはめっちゃ長いので、すでに規則と内規をご理解の方は最後の結論まで飛んでもらってもいいですが……離脱率を上げたくないので、できればゆっくり2日くらいかけて読んで欲しいです。

 

【有利区間の基礎知識】

 

 

※5.9号機は1500G上限、また2400枚の規制はナシ
 

まずは基本事項から「有利区間とは何か?」ここから解説します。

 

有利区間は『5.9号機』から搭載された出玉と抽選の制限区間です。「ゲーム数上限」「出玉上限」に分かれており、6号機時代からは上の表の通り制限が細かく変化しています。

 

■【ゲーム数上限】

この有利区間中のみ、ATやARTといった出玉に関する抽選が可能となっています。有利区間外(非有利区間)はAT、ARTの抽選はもちろんのこと、そこに関わるCZ、天井や内部モードもはしらせることができません。

 

一般的に有利区間と言えば「出玉上限」をイメージされるようですが、実はこの「ゲーム数上限」がとても重要なんですね。そもそも有利区間がなくなってしまうと、今のルールではAT機自体を作ることが不可能となるわけです。

 

※スマスロは「ゲーム数上限」が撤廃されていますので、出玉上限以外で有利区間を切る必要がなくなっています

 

★6号機初期はゲーム数上限にも苦しんだ
・初当たり確率を調整する必要がある
・天井を浅く設計しがち
・残り有利区間がなくなると、2400枚を獲得できずにATが終了
・AT後に有利区間が切れるシーンが増えるため、内部状態やモード移行がワンパターンになる
 

▲5号機ディスクは5.9号機時代(有利区間開始時期)を時代を支えた

 

■【出玉上限】

そしてもう一つは、出玉上限の有利区間。6.4号機までは一回の有利区間内で一律2400枚の獲得で終了。6.5号機以降は、有利区間内の差枚数プラス2400枚で終了。有利区間を切るタイミングは機種によって異なりますが、上限はこのように設けられています。

 

最近はいわゆる「ツラヌキ」がゲーム性の軸となっており、枚数上限で有利区間が終了しても再度ATに突入したり、さらに良い状態(上位ATや抽選優遇など)に移行するような台が主流です。

 

【遊技機規則・内規の仕組みについて】

 

本題に入るまでもう少し予備知識を。次に、パチスロ規則の仕組みを解説します。

①遊技機規則
ルールの軸となる試験方式、出玉率、ボーナス枚数などを定める「法律」。国家公安委員会が管轄であり、最も強い立場に君臨する。改定は(5号機→6号機)のタイミングのみ。Aタイプ問題で取り上げられるボーナス枚数も、7号機に移行しないと改定されることはない。
 
②内規(自主規制)
メーカー団体「日電協」が作る自主規制ルール。今回のテーマである「有利区間」は、この内規に分類される。法律とは異なる自主規制のため、しばしば変更される。6.1号機→6.2号機といった6.○号機の変更は内規の改定によるものであり、有利区間ゲーム数の延長・撤廃や2400枚差枚数もこの内規の変更により実現となった。
 
③遊技規則の解釈基準
警察庁が管轄。現状の規則の判断「解釈」を選定。まもなく導入予定のBT(ボーナストリガー)は、この解釈基準の変更によるもの。

 

★規則・内規の変更にかかる期間

 

内規(自主規制)は理論上ではすぐに変更可能。しかし、その一歩は業界の行方を左右させるほど大きい。

 

【なぜ有利区間を搭載したのか?】

 

では、今回のテーマに寄せていきましょう。

 

冒頭で解説したように有利区間は、抽選方式と出玉を制限する役割があります。もちろん昔はこんな制限ありませんでした。開発もシステムも複雑になり、パチスロのゲーム性までも制限されます。はっきり言って有利区間にはデメリットしかありません!! だから「有利区間なくそう!!」がトレンドになっているわけですね。

 

しかも、この有利区間は自分たちで設けた自主規制「内規」にあたります。こんな枷を自ら……もうアルティメット級のドM変態です。

 

「じゃあなんでわざわざそんな制限を付けることになったんや?」

 

こういう疑問が湧きますよね? もちろん、ちゃんと理由あってのことです。

 

一番の理由は「射幸性抑止」のアピール

 

直近の流れだと、4号機時代に上(国家公安委員会)から怒られ、射幸性を抑えた5号機時代に突入します。そこでも徐々に加熱が始まり、5号機の中期(いわゆる旧基準AT機時代)頃から、再び指摘されるようになりました。

 

6号機への移行が見えてきた頃に

 

「このままだと6号機の遊技機規則、どうなるかわかってるやろな?」

 

という雰囲気になってくるわけですよ。そこでメーカーの業界団体(日電協)が内規(自主規制)を設けて、

 

「我々はこんなにも頑張って、出玉力と射幸性を抑えています!!」

 

と、遊技機規則が厳しくなりすぎないようにアピール。その施策の一つが「有利区間」だった、というわけです。

 

【有利区間は本当に無くすべき?】

 

 

では、その大きな枷となっている「有利区間」。これを今なくすのはどうでしょうか?

 

ここまでの流れを読んでいくと……答えは「NO」となりませんか?

 

実際に有利区間はデメリットだらけですので撤廃するに越したことはありません。しかし「いつなくすの?」と聞かれると、ミナト的には「今じゃないでしょ!?」という考えに収まります。

 

思い返してください……5.9号機時代、有利区間が搭載されてAT機の開発まで封じられました。そこから6号機の規則に変わり世紀末のような状況に。徐々に内規(自主規制)を緩め、現在ではゲーム数上限(ゲーム数有利区間)が撤廃、差枚数による上限(枚数有利区間)にも変更されました。

 

かなり慎重に緩和してきましたが、現在のスマスロ機はどうでしょうか?

 

ゲーム性・出玉性能が大幅に改善され、パチスロを盛り返すきっかけになりました。しかしその一方、「加熱感」・「射幸性」が指摘されるようになってきているのも事実です。7号機への移行が意識される時期、このタイミングでいっきに枷を外すとどうなるか?

 

「君たち、全然反省していないようだね? 7号機はバチクソ締め付けるから覚悟しといてね」

 

こうなってしまうわけです。よって、「いま有利区間を完全撤廃する事はNG!!」と考える人が存在するのです。

 

【有利区間撤廃より大事なことは?】

 

 

ではこの話の結論へ。ミナトの見解も「有利区間への介入は今ではない!!」。一丁目一番地は、7号機で遊技機規則を緩和してもらうことです。中でも「試験方式」、ここが変わらない限り出玉性能とゲーム性の発展はないと言われています。

 

この「試験方式」で最も影響を与えているのが「短期(400G)の出玉試験」、5号機から改定された際に大幅に規制されました。

 

すごく簡単に説明すると、出玉試験中どこかの400G間(ボーナス中・AT中も対象)で差枚上限を超えると失格となります。ユーザー感覚で言えば、30分程打って1300枚くらい出たらアウト!! って感じです。余裕で超えそうじゃないですか?

 

これによって6号機は(スマスロ含む)、出玉の瞬発力が抑えられているのです。出玉性能が高い台を作ろうとすると適合率が下がり、試験にお金がかかります。また試験を通すために、いわゆる減少区間や試験対策……のような施策を取らざるを得ない状況になる場合も。

 

パチスロの試験1回にかかるお金は約150万円(今はもう少し高くなっているはず)と言われています。非常に高額です。となると、そのツケは開発費や販売価格に影響してくるわけです。じゃあ面白いパチスロが作りにくいし、ホールの負担も増えて設定状況だって悪化しますよね?

 

これが早急な有利区間廃止ではなく、試験方式(遊技機規則)の緩和を目指すことが重要だと考える意見の理由です。

 

 

では以上となります。いやぁ……長かった!! 最後までお付き合いいただいた方には感謝です。これでもかなり省略しながらだったんですが、それだけ規則に関しては難しい問題であり、パチスロの未来において非常に重要であるということなのです。

 

現在様々な意見が飛び交っています「パチスロを面白くしたい!!」ということに変わりはないと思います。これを機に、皆様にも少しでも興味を持っていただければ有り難い限りです。

 

ただ、現状を取り巻く規制はメディアにも責任があります。射幸心を過度に煽る事、台やホールの紹介の仕方に関しては今一度注意していくべき。その上でより良い時代が来るよう、情報を促していければと思っています。

 

では、また!!

 

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